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「漢字の正しい書き順(筆順)」ホームページ管理者
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語彙の『彙』について - いい漢字
2015/01/06 (Tue) 19:15:24
*.netyou.jp
中学の教科書には彙の上部が「ヨ」になっている字体が載っています。(下の線ははみ出ていません。上部が彑になっている字形も載っています。書く時はこの字体を用いると書いてありました)
この字体の書き順を載せることは可能でしょうか。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/07 (Wed) 08:17:01
*.asahi-net.or.jp
その教科書の出版社、出版年、ページを教えてください。
Re: 語彙の『彙』について - いい漢字
2015/01/07 (Wed) 15:58:04
*.netyou.jp
出版社・・・光村図書
国語 1(中1)
出版年・・・2013(平成25)年
月日・・・2月5日
ページ・・・p244(漢字の練習)で初登場。
p299(付録、一年生で学習した漢字)に手書きの際に使われる字形として上部が『ヨ』になっている字形が載っています(筆順も載っています)
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/07 (Wed) 16:38:54
*.asahi-net.or.jp
「彙」は常用漢字なので、常用漢字表に掲載されています。
「けいがしら」の字形は「彑」です。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/pdf/jouyoukanjihyou_h22.pdf
備考欄に、「*[(付)第2の3【剝】参照]」と記載されています。
活字字形は「彑」、手書きでは「彐」としているものではありません。
教科書の記載内容の詳細は不明ですが、掲載理由などについて、光村図書にお問い合わせください。
なお、「けいがしら」を「彐」としたフォントがないため、対応不能です。
Re: 語彙の『彙』について - いい漢字
2015/01/07 (Wed) 20:03:24
*.netyou.jp
分かりました。
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/16 (Fri) 00:48:50
*.ocn.ne.jp
昨年はお騒がせいたしました。
今年もたびたびお邪魔するかもしれません。
さて、問題は解決済みのようですが。
「けいがしら」について、
結論から言いますと、「彑」は字典体で「彐」は書写体(筆写の楷書)ということです。
ですから、
>手書きの際に使われる字形として上部が『ヨ』になっている字形が載って
いるということなのです。
書道字典で調べればわかることですが、書写体(筆写の楷書)では、「けいがしら」を「彐」に書く例のほうが圧倒的です。
たとえば『録』『緑』のツクリの上部は字典体では「彑」が本来の形ですが、「彐」として通用しているのは、常用漢字として採用されるときに、書写体(筆写の楷書)を採用したためです。
ですから、その教科書には、
>書く時はこの字体を用いる
と書いてあったわけです。
>「けいがしら」を「彐」としたフォントがないため、対応不能です。
とありますが、管理者様運営の文字拡大サイトの、
http://moji.tekkai.com/zoom/%E5%BD%9A/page.html
に、「彐」としたフォントがあるようですが、いかがでしょうか。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/16 (Fri) 10:17:16
*.asahi-net.or.jp
> たとえば『録』『緑』のツクリの上部は辞典体では「彑」が本来の形ですが、「彐」として通用しているのは、常用漢字として採用されるときに、書写体(筆写の楷書)を採用したためです。
「彙」も常用漢字ですが、異体字の「彚」ではなく、「彑」の字体がそのまま採用されています。
「彖」と「彔」の違いでしょうか。
「彚」「彔」は、別途対応します。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/16 (Fri) 11:41:18
*.asahi-net.or.jp
訂正します。
> 「彚」「彔」は、別途対応します。
「彚」は、戸籍統一文字情報の文字イメージ、IPAmj明朝フォントは対応しているのですが、利用している楷書体フォントは未対応でした。
http://moji.tekkai.com/zoom/%E5%BD%9A/page.html
ページには楷書体はありません。
よって、対応は見送らせて頂きます。ご了承ください。
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/16 (Fri) 15:33:53
*.ocn.ne.jp
早速ご対応をありがとうございます。
やや説明不足だったようでしたので補足いたします。
>>「彐」として通用しているのは、常用漢字として採用されるときに、書写体(筆写の楷書)を採用したためです。
との私のコメントに対して、
>「彙」も常用漢字ですが、
とのコメントでしたが、
常用漢字と表記したためにやや誤解があったかもしれません。
正確には当用漢字としたほうがわかりやすかったですね。
当用漢字の目標は、筆写の楷書に近づける、ということでした。
そのために、当用漢字として採用された『録』『緑』『縁』などは書写体(筆写の楷書)の「彐」が採用され、当用漢字としては採用されなかった「彙」は「彑」のままなのです。
ですから、
>書く時はこの字体を用いる
と書いてある光村図書の教科書に誤りはない、ということです。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/16 (Fri) 17:38:05
*.asahi-net.or.jp
教えてください。
当用漢字として採用された「録」「緑」は、「彑」が「彐」とされ(新字体でしょうか)、「彑」のもの(「錄」「綠」)を旧字体(同時に人名用漢字とされた)としたのであれば、そのコンセプトは、その後の常用漢字表に踏襲されることはなく、「彙」は「彑」がそのまま踏襲されたと言うことなのでしょうか。
「彙」にも「彑」を「彐」とする字体も存在しますが、常用漢字であるにも関わらず、人名に使うことは出来ません。教科書に手書き字体として紹介されているにも関わらず、その字体では戸籍に登録することが出来ないことになります。
教科書や常用漢字(当用漢字も)は文部科学省、戸籍は法務省所管…。
どうもスッキリしません。これが日本の漢字行政なのでしょうか。
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/16 (Fri) 23:07:34
*.ocn.ne.jp
>そのコンセプトは、その後の常用漢字表に踏襲されることはなく、「彙」は「彑」がそのまま踏襲されたと言うことなのでしょうか。
そういうことです。
当用漢字の目標の一つは先に言いましたとおり、筆写の楷書(書写体)に近づける、ということでした。このコンセプトを今も継続して行っていたらよかったのです。もしこのコンセプトが今も継続されていたとしたら、「彑」は「彐」で統一されていたかもしれません。
しかし、その後、常用漢字が定められるときにはその目標は断念された形になり、(康煕)字典体の字形をそのまま採用することになってしまったのです。
これが混乱を招く一因になっているのです。
教科書に手書き字体として紹介されているといってもあくまでも書写体であって筆写する際だけに認められている字体でありますから文科省や法務省など、公的には常用漢字に登録された形以外は受け入れられない、というのも仕方の無いことといえます。
「髙(はしごだか、戸籍統一番号は513280)」や「土+口(つちよし、戸籍統一番号は038140)」や「﨑(たちさき、戸籍統一番号は094190)」などはいずれも書写体なのですが、使用頻度が高いために、常用漢字の字体である「高」「吉」「崎」と区別されて戸籍の登録ができるようになっています。
しかし「彙」が「彐」のほうで登録できないのはその使用頻度から考えて区別するほどのものではない、との判断であろうと考えられます。できるだけ余計な区別はしたくない、というのが公的機関の本音だと思われます。
こちら↓に、戸籍統一文字に関する記述があります。
http://www.seiai.ed.jp/sys/text/csb11/chs03/s03a080.html
また、こちら↓に、ウィクショナリーの「彙」の説明がありますが、
http://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%BD%99
字形について、の項目に次のように説明があります。
戦前ではもっぱら彙の字形は「彚」の形で書かれていた。これは文部省活字の表や漢字字体規範データベースを見ても明らかである。しかしどういうわけか、現在フォントベンダーが売っている手書き書体に収められている「彙」の字形はいわゆる康煕字典体に準じたものとなっている。また、日本漢字能力検定において「彚」は「彙」の許容字体として認められていないため、「彚」で書くと失点扱いになってしまう。
とあります。
つまり漢字検定では「彐」で書いてはいけない、としてしまっているのです。つまり、書く時はこの字体を用いる、としている教科書を否定しているともいえますし、漢字筆写の習慣を否定しているといっても過言ではありません。これでは漢字の理解としては不十分です。
ですから阿辻哲次先生の「わたくしは漢字の字形、筆順などを漢検協会の採点基準にすべて合わせるということに少し違和感を感じます。」というご意見にまったく同意するのです。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/17 (Sat) 08:49:55
*.asahi-net.or.jp
既に戸籍に使用されている字形については、これを変更することはないので、戸籍統一番号が割り振られ、表示できるようになっています。
ただし、戸籍法では子の名に使える漢字は常用漢字と人名用漢字となっているので、「巫」を使いたいといった裁判があったわけです。
そもそも、当用漢字表を作成する際に、漢字の範囲として定められてしまい、表外の漢字を字形の変更対象外としてしまったことが問題の根幹かと思います。偏旁冠脚の字形統一まで踏み込んでいれば、活字の「彑」は「彐」に置き換えられ、「彑」は旧字体として位置づけられたのではないかと思います。
日本漢字検定は、残念ながら常用漢字表(付表を含む)を基準としていますので、筆写の歴史にまで踏み込んでいるものではありません。検定基準に従っているものだと言うことでしょう。
常用漢字表の「彙」の備考には「彑」と「彐」について付表を参照するように記載されていますが、手書きではこういった字形もあります、ということで、「録緑縁」のように、旧字体が人名用漢字となっているわけではないので、あくまでも参考程度ですね。
個人的には筆写で「彙」を書くことに違和感はありません。むしろ、疑問に感じることもなかったと言うことでしょうか。
問題意識をお持ちの方は研究者を含め多数いらっしゃるわけですが、文部科学省に対して問題提起など、具体的な行動を起こさない限り、残念ながら日本の漢字施策が変わることはないと思います。
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/17 (Sat) 21:26:47
*.ocn.ne.jp
>日本漢字検定は、残念ながら常用漢字表(付表を含む)を基準としていますので、筆写の歴史にまで踏み込んでいるものではありません。検定基準に従っているものだと言うことでしょう。
ですから、日本漢字能力検定において「彚」は「彙」の許容字体として認められていない、という基準の狭さ低さに違和感があると阿辻先生はいっているわけです。筆写の習慣などを考慮されていないことに疑問を感じるのです。
>筆写で「彙」を書くことに違和感はありません。むしろ、疑問に感じることもなかったと言うことでしょうか。
漢字について取り扱うときに、正字、俗字、異体字、書写体、旧字体、新字体などをある程度認識し、理解しておく必要があります。つまり「彑」は字典体で「彐」は書写体である、といった風に。
それらを理解しておくと、書く時はこの字体を用いると書いてあった教科書の記述に疑問を感じることはありませんし、筆写で「彙」を書くことに違和感を感じるのがむしろ自然なのです。楷書では唐代前後からずっと「彐」で書かれてきていたわけですから。
日本の漢字施策が変わることはない、ということよりも、「彑」は筆写では「彐」と書いてはいけない、とするような基準の低さ、許容範囲の狭さを残念に思うのです。
漢字文化の衰退を懸念するところです。
さて、こちら↓には、
http://www.tonan.jp/moji/13seiji/
正字のルーツ、と題された、字体などに関する非常に興味深い、簡潔であって有用な記事があります。
ご一読のほどを。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/18 (Sun) 09:32:50
*.asahi-net.or.jp
> 日本の漢字施策が変わることはない、ということよりも、「彑」は筆写では「彐」と書いてはいけない、とするような基準の低さ、許容範囲の狭さを残念に思うのです。
今回、疑問に感じたことは、教科書の検定を行っている文部科学省が、書写体(「彐」)について修正を求めていないと言うことです。
光村図書の教科書の現物は知りませんが、筆写字体として紹介していることを否定していないのですから、「彙」と「彚」は、常用漢字表の付表にある「剝」と「剥」と同様の取扱いとするべきではないかと思いました。(常用漢字表の備考欄に記載されていますので)
常用漢字表の字体については問題が残りますが、日本漢字能力検定については実態に即した内容に改めて欲しいものです。
光村図書は日本漢字能力検定の採点基準について修正を求めてもいいと覆うのですが。
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/18 (Sun) 14:35:31
*.ocn.ne.jp
>今回、疑問に感じたことは、教科書の検定を行っている文部科学省が、書写体(「彐」)について修正を求めていないと言うことです。
公的機関または公的機関に準じた団体が一団体に修正を求めることはありません。
教科書の見解は、字典体は「彑」であり書写体は「彐」であるという関係を十分把握し検討したうえで、手書きするときは「彐」です、と書いているわけです。それを文科省の教科書検定で検査され認められたのです。ということは文科省の見解ということです。
また、文科省の見解である常用漢字表では備考欄に注記しているように「彑」でも「彐」でも、どちらでも間違いではない、という柔軟な姿勢を示しているのです。
問題は、常用漢字表でそのように示されているにもかかわらず一団体である漢検協会が、「彐」で書いてはいけない、とするような認識不足、基準の低さ狭さであって、それを修正できていないことなのです。
>「彙」と「彚」は、常用漢字表の付表にある「剝」と「剥」と同様の取扱いとするべきではないかと思いました。(常用漢字表の備考欄に記載されていますので)
そうです。それを一団体である漢検協会が自発的に修正していくべきなのです。ですから漢検において「彚」は「彙」の許容字体として認められていない、という基準の狭さ低さに違和感があると阿辻先生はいっているわけです。
そして、漢検協会のそのような基準に合わせようとする傾向が一部にあることが更に問題なのです。
というわけで、アニメーションは難しいとするならば、字形(書写体)の表示と、筆写の楷書(書写体)の書き順は「フ--」です、などの注記があるといいんじゃないでしょうか。
「彑(けいがしら)」のある漢字(彑、彙、彖、彔、篆など)はすべて同様です。
Re: 語彙の『彙』について - kakijun(管理者) URL
2015/01/18 (Sun) 15:44:15
*.asahi-net.or.jp
日本漢字能力検定協会に問い合わせすることが出来ますのでご利用ください。
http://www.kanken.or.jp/kanken/contact/
時間は掛かりますが、回答は返ってきます。
> というわけで、アニメーションは難しいとするならば、字形(書写体)の表示と、筆写の楷書(書写体)の書き順は「フ--」です、などの注記があるといいんじゃないでしょうか。
簡単な作業ではないことをご理解ください。
常用漢字表の付表の例示以外に、当用漢字表作成時の字体に関する経緯を調べる必要がありそうです。
「彑(けいがしら)」の字体については、楷書体フォントが対応していれば異体字として、未対応であれば注記として対応を検討します。(楷書画像の作成は大きな負担です)
Re: 語彙の『彙』について - ぼくあん
2015/01/18 (Sun) 17:04:32
*.ocn.ne.jp
漢検協会には私も昨年別件にていくつかの問い合わせをしました。
予想どおり、今回の問題と同じ程度の基準に基づいての回答がありました。
そこで筆写の楷書ではこう書かれてきました、と古典字例を挙げて再度問い合わせたところ、じゃあこれも正解とします、といった具合の回答でした。
漢検協会の基準のレベルを知り愕然としました。そのレベルに問題があるのです。
それゆえに阿辻先生と同様の違和感を感じるのです。
>簡単な作業ではないことをご理解ください。
もちろん、十分承知しています。ですから、少しずつ、お暇なときでよいと思います。
昨年話題に挙がりました「主」のある漢字に対してのご対応はすばらしいと感服しております。
>常用漢字表の付表の例示以外に、当用漢字表作成時の字体に関する経緯を調べる必要がありそうです。
文科省の常用漢字表の見解、検定を合格している教科書の記述、ウィクショナリーの記述、それで経緯の説明としては十分だと思いますし、何よりも書道字典で見られるように古典の楷書では「彚」と書かれてきた事実があり、改めて経緯を調べる必要は無いと思いますが。戦前までは「彚」と書かれてきたわけですから。
こちら↓の、
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin05/index.html
当用漢字字体表のまえがきには、
「 この表の字体の選定については,異体の統合,略体の採用,点画の整理などをはかるとともに,筆写の習慣,学習の難易をも考慮した。なお,印刷字体と筆写字体とをできるだけ一致させることをたてまえとした。 」
とあり、経緯を理解するものとしては十分なものではないでしょうか。
「録緑縁」などは当用漢字に採用されるときに筆写の楷書に近づけたから「彐」で示されるようになったんです。そして当用漢字に採用されなかった「彑(けいがしら)」のある漢字は字典体のままなのです。
>楷書体フォントが対応していれば・・・
楷書体フォントにこだわらなくてもよいと思うのですが。まして楷書画像の作成など大変な作業だと思います。
できるだけシンプルでよいと思います。